成人のADHDとはどんな病気?

ADHDとは、不注意や多動性、衝動性を特徴とする発達障害です。今までは、子供に特有なものであるというイメージが多かったですが、最近は成人にも見られることが多くなってきており、「大人のADHD」と呼んでいます。しかし、ADHDは大人になってから発症するものではありません。12歳以前に不注意と多動・衝動を中心的な特徴と認め、成長に伴い軽快する症状もあるのですが、一部は成人期まで持ち越して持続します。特に不注意や衝動性は大人になっても残る方がいます。

大人になるまでの間に問題が生じないよう、本人や周囲の方が工夫してきたという場合や、問題が繰り返しが生じており「やる気がない」「だらしない」など言われ続けてきて、それに耐えてきたという方もいるかと思います。

成人のADHDの主な症状

ADHDの大人の方が会社で働きはじめると、様々な場面で悩む事が多くなります。会社では学生時代とは違って、ミスや約束を忘れたりすることが続いてしまうと周囲から信頼を失う事が多いです。そのために自信が持てず、「自分には能力がないのでは・・・」「自分はなまけものだ」と自己否定することで辛くなってしまいます。

また、大人になると、物事をひとりで担うことや責任を負わなければならないことが多くなります。そのような中で「自分では頑張っているつもりなのにミスが多い」、「周りの人に比べてうまく仕事ができない」などのために自信がなくなり、その結果気分が落ち込むこみ心療内科・精神科を受診され、ADHDの存在が明らかになるという場合もあります。

成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1)※18歳以上用

最近6ヶ月間で、それぞれの症状がみられる頻度に最も近い回答欄にチェックをつけてください。

1
物事を行なうにあたって、難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことが、どのくらいの頻度でありますか。
2
計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてるのが困難だったことが、どのくらいの頻度でありますか。
3
約束や、しなければならない用事を忘れたことが、どのくらいの頻度でありますか。
4
じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることが、どのくらいの頻度でありますか。
5
長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることが、どのくらいの頻度でありますか。
6
まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることが、どのくらいの頻度でありますか。

当院での治療方法

当院でのADHDの治療は薬物療法や心理社会的アプローチなどがあります。

障害をもっていても普通に日常生活や社会生活を送れるようになることを目指していきます。あきらめずに根気よくケアを続けていけば、症状をコントロールできるようになったり、他の人たちと同じように日常生活、社会生活が送れる可能性がありますので、継続的に通院して頂きます。

当院への通院のお願いと注意点

  • 当院では患者様一人ひとりに合わせた通院計画をご提案しておりますので、病気を治すためにもしっかり医師から伝えられた期限を守って通院してください。もちろん、症状が悪化したなどの際は早めに来院してください。

  • お薬は、症状が良くなったと思い患者様の判断で薬を飲むことを止めないでください。再び症状が重くなってしまうこともあります。飲んでいただく薬の量は患者様の状態を見極めた上で調整していますので、飲む量・回数はお守りください。

  • ADHDは、時間をかけて少しずつケアをしていきます。治療の初期段階で「治らない。」とあきらめないで少しずつ焦らず治療していきましょう。