みなさまは、日々の中で「考えたくないのに、気づけばそのことばかり頭に浮かんでしまう…」「不安を打ち消そうとすればするほど、余計に胸がざわざわする…」ということはありませんか?
仕事のミス、人間関係のもやもや、将来への漠然とした不安…。私たちは嫌なことがあると必死に忘れようとします。しかし人間の脳には、考えないように努力すればするほど、逆にそのことで頭がいっぱいになってしまう仕組みがあるのです。
今回は、そんな心のメカニズムと、今日からできる少しだけ心が軽くなるヒントをお届けします。
1. 考えないようにするほど頭に残る「シロクマ効果」とは?
心理学者のダニエル・ウェグナーさんが提唱した「シロクマ効果」という現象をご存じですか?
とある心理学の実験で、参加者をいくつかのグループに分け、シロクマの映像を見せたあと、あるグループには「これからしばらくの間、シロクマのことを考えていてください」と伝え、別のグループには「これからしばらくの間、シロクマのことだけは絶対に考えないでください」と伝えます。
するとどうなったでしょうか。なんと、シロクマの映像をよく覚えていたのは「考えないでください」と言われたグループの方だったのです。
これを私たちの日常に当てはめてみましょう。 「緊張してはいけないと思えば思うほど手汗が止まらなくなる」 「あの人の失礼な態度を気にしちゃだめだと考えるほど、寝ようとしても怒りがおさまらない」 みなさまも経験があるのではないでしょうか。
実は、「〜してはいけない」「〜を忘れなきゃ」という言葉は、脳にとって強力なリマインダー(思い出させるきっかけ)になってしまうのです。意志が弱いから忘れられないのではありません。脳が勝手にスポットライトを当ててしまう現象が起きているだけなのです。
2. 頭から離れない「シロクマ」が現れたときの3つのステップ
では、頭から離れないシロクマが現れた時、私たちはどうすればいいのでしょうか。今回は3つのステップをご紹介します。
① 「あ、シロクマが来たな」と思ったらラベルを貼る
まずは、考えないようにするのを止めてみましょう。不安な考えが浮かんだら、「あ、またあの不安が戻ってきたな」「今、私の中にシロクマがいるな」と一歩引いて心の中で呟いてみます。感情の渦に巻き込まれる前に、ただそこに存在していると認めるだけで、脳の興奮は少しずつ静まっていきます。
② 別のシロクマに席を譲る
脳は「何も考えるな!」という命令は苦手ですが、「これを考えて!」という具体的な命令は得意です。頭を悩ませる問題とは全く関係のない、五感を使う作業に意識を向けてみましょう。
- 好きな音楽のベースの音だけをじっくり聞いてみる。
- 好きな飲み物を口に含み、香りや風味、のどを通る感覚に集中する。
- お気に入りの雑貨や植物、動画を見る。
など、様々な方法がありますよ。
③ シロクマを歓迎する時間を予約する
どうしても考えてしまうなら、いっそのこと思いっきり悩む時間をスケジュールに組み込んでしまいましょう。例えば、「毎日夕方の18時から15分間だけは、思い切り不安になってもいい時間」と決めます。
日中に不安が湧いてきたら、「あ、その件は18時からの一人反省会で扱おう」と脳に後回しを提案します。不思議なことに、いざその時間になると、そこまで深刻に考えられなくなっていることも多いのです。
3. のんびり構えてみませんか
頭の中にシロクマが現れるのは、あなたがこれまでの人生を一生懸命に過ごし、傷つき、それでもなんとかしようと頑張ってきた証拠です。
今すぐ忘れられなくても構いません。「頭の片隅にシロクマを座らせたまま、そのうちどこかへ行くだろう…」とのんびり構えてみませんか。
ココカラハートクリニックでは、みなさまの心がほんの少しでも軽くなるようなお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
ココカラハートクリニック 臨床心理士
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