
ニキビは、思春期に多く発症し、顔や上半身にある皮脂腺を伴った毛穴に生じる、多くの方が経験する慢性の炎症性疾患です。
ニキビに関する代表的なご質問について、詳しく解説します。
Q1. ニキビの根本的な原因は何ですか?
ニキビの始まりは、コメドと呼ばれる毛穴のつまりです。
- 毛穴のつまり:毛穴の出口が塞がります。
- 皮脂の蓄積とアクネ菌の増殖:皮脂が外に出られず毛穴に溜まり、皮脂を好むアクネ菌(C.acnes)が増殖します。
- 炎症の発生:アクネ菌が炎症を引き起こす物質を呼び寄せ、皮膚が赤くなる炎症が起こります(赤ニキビ)。
ニキビには、皮脂分泌の亢進、内分泌的因子、毛包漏斗部の角化異常、アクネ菌の増殖と炎症の4つの因子が関与していますが、毛穴が詰まってもニキビにならない方もいるため、根本的な原因は不明であり、個人の体質が大きく影響すると考えられています。
Q2. 思春期ニキビと思春期後ニキビの違いは何ですか?
ニキビが初めてできる部位として最も多いのは額です。
その他、頬、顎、背中、胸部、首の順に発症します。
- 思春期ニキビ:年齢が若い時期に多く、皮脂分泌量の多いTゾーン(額)に生じやすいのが特徴です。
- 思春期後ニキビ(大人ニキビ):20代~40代の女性に多く見られ、年齢とともにUゾーン(頬~顎)に増えてきます。
月経前に悪化するのが典型的です。
Q3. ニキビを悪化させやすい食べ物はありますか?
ニキビ治療における明確な食事指導の方法はまだ確立されていませんが、ニキビ経験者の多くが間食や食生活の乱れを自覚されています。
悪化因子として挙げられる食品には、チョコレート、揚げ物、脂っぽい食べ物、ファーストフードなどの高カロリー食、ナッツ類などがあります。
また、糖に関わるインスリン様成長因子(IGF-1)は、ニキビの悪化因子の一つと考えられています。
バランスのよい食生活を送るためには、1日3食きちんと食べ、脂肪分や糖分を控えめにすることが大切です。
例えば、3食のうち2食を和食(焼き魚や煮物などの日本食)にすると、栄養バランスが整いやすくなります。
Q4. 妊娠中・妊娠希望の場合、使用できるニキビの外用薬は?
妊娠中または妊娠を希望されている場合、ニキビの治療薬であるアダパレン製剤は使用できません。
Q5. アトピー性皮膚炎とニキビが混在する場合、治療を優先するのはどちらですか?
両方の疾患が混在している場合は、まずアトピー性皮膚炎の治療を優先します。炎症症状が落ち着いてから、ニキビの治療を開始することが推奨されます。
ニキビの保険診療と治療のポイント
現在、保険診療でニキビ治療の中心となるのは、毛穴の詰まりを改善するピーリング作用のある外用薬です。
具体的には、過酸化ベンゾイル(BPO)やアダパレンゲルなどがあります。
- 赤ニキビや、さらに炎症が進行した黄ニキビまで悪化してしまった場合は、炎症を抑える抗菌薬の外用、抗生剤の内服、漢方薬なども取り入れ、ニキビの種類や段階に合わせた治療を行っていきます。
重度のニキビは、ニキビ跡(瘢痕)になる可能性もあるため、種類・段階に合わせた適切なお手入れや治療が必要です。
また、月経不順や多毛といった症状がある場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や卵巣機能不全といった婦人科内分泌疾患に伴うざ瘡や、他全身疾患の合併も疑う必要があります。
なかなか治らない、繰り返すニキビでお悩みの方は、一度当院までご相談ください。
名古屋・栄エリアで心身のお悩みなら、久屋大通駅1A出口スグのココカラハートクリニックへ。
心療内科、精神科、内科、皮膚科に加え、同フロアのココカラウィメンズクリニック(婦人科)とも連携。
ひとつの場所で心と体をトータルサポートできるのが強みです。
この記事を書いた人
皮膚科専門医 野尻 万紀子
診療日 毎週月曜日午前
ココカラハートクリニックでは、皮膚科診療を行っています。
診療日は毎週月・木曜日の10時~13時です。
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